マンモグラフィ(MMG:Mammography)
マンモグラフィ検査とは、乳房を平たく押さえてレントゲン写真を撮ることに より、乳腺内の異常を調べる検査です。がんの腫瘤そのもの、がんの証拠となる石灰化 、引きつれなどを、見つけ出します。※非触知の早期乳がん発見につながる検査のひとつです
マンモグラフィ検査は、X線を利用します。健康には影響のないX線量ですが、薄くすることでさらにX線被曝を低減できます。 マンモグラフィ検査による被曝が気になることと思いますが、地球上で生活していると、年間に2.4mSVの自然放射線を浴びています。東京から米国までの往復で約0.08mSVの被曝をする事がわかっていますが、マンモグラフィは、1回の検査でこの半分の約0.038mSvの被曝を受けます。むやみに被曝を受けるべきでは、ありませんが、40歳以上の年齢で、マンモグラフィ検査を受けることのメリット・デメリットを考えると、是非、一年おきのマンモグラフィ検診をおすすめします。
このようなレントゲン被曝に関してのご相談を受けるたびに、かつて胃X腺二重造影法を作り上げた先生方の尋常でない被曝のことを、いつも考えてしまいます。
乳がんは、その発育速度で、ゆっくりゆっくり成長するタイプと、とても成長の早いタイプの2種類のがんにわけられます。多くの、ゆっくりと成長するタイプの乳がんは、1個の細胞から、1cmまで成長するのに約10年かかると言われています。この10年の間に、4-5回、乳がん検診を受けていただくことにより、なんとか乳がんを早期発見したいものです。現在、1年おきにマンモグラフィによる乳がん検診が推奨されていますが、1年前なら覚えているけれど、2年以上前の記憶って曖昧ですよね。偶数年齢での乳がん検診受診を推奨としていた自治体もあったようですが、困ったことに、5歳刻みの乳がん検診無料クーポン券が配布されたために、多少、検診間隔に混乱を招いてしまっております。忙しかったり、職場の異動だったり、几帳面な方でも、現実的には、検診間隔が、おおむね4-5年ごとになってしまっており、残念ながら、早期とは言い難い状態で診断されているのが現状です。早期発見のために、是非、1年おきに乳がん検診を受けていきましょう。
残念ながら、もう一方の成長の早いタイプは、とても短期間で、倍の大きさに成長し、リンパ管や血管にはいりこみ、リンパ節へ、そして肺、肝臓へと転移してしまいます。このタイプの乳がんは、1年おきの乳がん検診だけでは救命が難しいがんと言えます。定期的に乳がん検診を受けていても、もし、しこりや、違和感があった場合には、早めに乳腺外来を受診しましょう。
乳がんの手術を10数年前に受けました。乳がん検診を受けたいのですが、どうしたら良いでしょうか。
術後10年ほど経つと、治療した主治医から、そろそろ今後は、検診でみてもらって下さいと言われることがあるようです。治療と経過観察が一段落している状況であれば、自治体の方針にもよりますが、どうぞ、遠慮なさらずに、通常の自治体の乳がん検診で、マンモグラフィ検査を受けてください。乳がんの術後に、マンモグラフィ検査を受け続けることにより、新たな対側乳がん発生による死亡率が抑制されることがわかっています。
困ったことに、温存乳腺に生じた乳がんは、マンモグラフィ検査での診断に時として苦慮します。お住まいのお近くに、検診もできる乳腺外科があると良いのですが…
乳がんの好発年齢は、40~60歳です。なぜ、他の胃がんや大腸がんに比べて発症年齢が若いのでしょうか?それは、乳がんの発がんならびに発育に女性ホルモンが深く関係しているからです。一般的な、閉経年齢の50歳を前に急激に罹患率が増加するのは、そのためです。若い年代に発症することが、やや強調されすぎていますが、70歳、80歳でも乳がんは、発症しますので、しこりに気がついたら乳腺外来を受診しましょう。70歳以降は、緩やかに罹患率が減少しますが、お元気な高齢者の多い東京都北区では、80歳以上での乳がんも、まれでは、ありません。
マンモグラフィの乳がん検診で再検査・要精密検査となる検査所見の解説です。
【腫瘤】
腫瘍でレントゲンが遮られることによってできる『かげ』をとらえます。悪性腫瘍と良性腫瘍で、そのさえぎりかた、かげのふちどりが微妙に異なることによって、良性悪性を判断します。乳腺をひらたくのばして撮影するのですが、正常な乳腺組織に重なりができてしまい腫瘤と見えてしまう場合があります。分泌物の貯溜した嚢胞も腫瘤としてうつることがあります。
【局所的非対称性陰影】
漢字が並んでいてものものしいですが、ひらたい言葉で表現すると、右と左と見比べてなんか違う部分があるということです。もともと乳腺の左右差は、よくあることですが、レントゲンのさえぎり方があきらかに、左右で異なる部位があるときにこの表現を使います。
【石灰化】
悪性腫瘍に伴う、壊死した細胞内のカルシウムの沈着、もしくは、腫瘍の分泌するカルシウムが沈着した、がんの存在を疑うわずかなサインです。
マンモグラフィ検査結果によりますが、通常、乳腺超音波検査を行いますので、超音波検査(エコー)の予約をしてからの来院をお勧めします。『腫瘤』、『局所的非対称性陰影』といった検診結果内容の場合には、特に超音波検査で有用な情報が得られます。
局所的非対称性陰影とは、左右のマンモグラフィを見比べて、しこりとは言えないが、左右見比べてカゲがある場合の表現です。最近は、この、局所的非対称性陰影で指摘される淡いカゲでしか見つからない乳がんが増えています。
2015年1月現在、おりはた乳腺胃腸パラスクリニックでは、マンモグラフィ検査は、前もってのご予約をおすすめしております。
※ 乳腺超音波検査は、可能な限り随時行いますが、待ち時間短縮のために、お手数ですが、まえもって診察のご予約をお願いいたします。
体のあらゆるところにカルシウムの沈着は生じます。特に乳腺は、乳汁を作るためのカルシウムをつくるぞうきですので、石灰化が良く認められます。マンモグラフィで探すべき石灰化は、がん細胞が壊死したときに細胞内に僅かに含まれていたカルシウム成分がそこに沈着してできる石灰化です。通常の細胞分裂速度では、この石灰化は、きれいに掃除をする細胞で除去されてしまうのですが、あまりにも速いスピードで、がん細胞の死骸ができしまうため、掃除しきれずにたまってしまいます。この、カルシウムをつくる分泌型の石灰化と、壊死による石灰化の鑑別には、多少の慣れが必要です。 僅かな石灰化でしか捉えることが出来ない早期の乳がんは、マンモグラフィでないと見つけるのが困難です。ただし、すべての乳がんに石灰化が生じるわけではありません。