残念ながら、いずれの腫瘍マーカーも、乳がんを見つけることに、役立ちません。
CA15-3、CEAといった、腫瘍マーカーが乳がんの転移・再発後に上昇することがありますが、乳がんを見つける検査は、マンモグラフィと超音波検査(エコー)です。
〒115-0045 東京都北区赤羽2-13-3
LaLaガーデン・マツモトキヨシ薬局3F
2014年12月2日(火)Open予定
残念ながら、いずれの腫瘍マーカーも、乳がんを見つけることに、役立ちません。
CA15-3、CEAといった、腫瘍マーカーが乳がんの転移・再発後に上昇することがありますが、乳がんを見つける検査は、マンモグラフィと超音波検査(エコー)です。
職場の検診で、乳腺超音波検査を受けていただくと、様々な良性疾患が見つかります。嚢胞、線維腺腫、乳管内乳頭腫…乳腺超音波検査は、放射線の被曝もなく、お若い方で、乳がんの早期発見につながることも、時としてありますが、残念ながら、超音波検査機器の精度が良くなりすぎたこともあり、たくさんの良性疾患が見つかってしまいます。腫瘍として見つかるものの代表的なものに『線維腺腫』が、あります。この良性腫瘍は、20~30代に発生し、閉経すると、しぼんで消えてしまう、良性腫瘍です。線維腺腫と診断された場合に切除する必要は、ありません。紛らわしい疾患として、葉状腫瘍といって、良性なのですが、成長し続けてしまう良性腫瘍があります。この葉状腫瘍は、困ったことに、良性、悪性の境界が曖昧で、時に急激に大きく成長してしまうことがあります。さらに困ったことに、腫瘍の一部を採取して顕微鏡で検査(病理診断)をしても、線維腺腫と、葉状腫瘍の区別をすることは、とても難しい事なのです。病理診断で、区別が難しいと初めて聞いたときには、耳を疑ってしまいました。線維腺腫と診断されても、まれに紛らわしいものがあるため経過観察し、一般的には、おおきさが3cmを超えた場合は、丸ごと腫瘍を切除して、病理診断を行います。40歳以上で、初めて、線維腺腫と診断された場合も要注意です。
通常、この線維腺腫は、正常乳腺と硬さが変わらないため、超音波検査をうけるまで、自覚されないことがほとんどです。妊娠期に増大したり、閉経前に、硬くなって自覚されることがあります。
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良性腫瘍にしても、悪性腫瘍にしても 『手術』 予定となると不安なことが多々生じてくることと思われます。マンモグラフィ、乳腺エコーなどの資料をお持ちいただければ、より具体的にセカンドオピニオンの呈示ができますが、事情により画像の準備が難しい場合でも、お話しをお伺いすることはできますので、外来でご相談下さい。患者さんご本人が来院された場合は、保険診療の対象となります。セカンドオピニオンの予約は、通常の診療同様にお電話で予約をお願いいたします。
現在普及している超音波画像診断法は、和賀井敏夫順天堂大学名誉教授によって開発されました。NHKのプロジェクトX『創意は無限なり・超音波診断機エコー』で、ごらんになった方もいらっしゃるかと思いますが、潜水艦を見つけるソナー技術の原理を応用し、組織に当てた反射音波を画像として描出し、体内の異常を発見する技術です。
マンモグラフィと超音波検査とどちらが精密な検査なのかと、よく質問されますが、どちらの検査も、得意な病変、不得意な病変があります。しこりの良・悪性を判断する事は、超音波検査の得意とするところです。超音波検査の最大のメリットは、放射線による被曝のないことです。世界に類のないほど、日本中には、この装置が普及しています。デメリットは、検査担当者の技量、検査機器の質により精度のばらつきが生じてしまう点です。現在のところ、対策型乳がん検診(住民検診)で、乳腺超音波検診は、推奨されていません。その一つの理由は、たくさんの良性病変(嚢胞、繊維腺腫などの良性腫瘍)を見つけることになるが、良性と断定することが難しいため、不必要な検査を受けていただくことになってしまうためです。マンモグラフィ検診で、がんの証拠をとらえるのが時として難しい40歳代での有効性が現在検証されている段階です。
2006年 和賀井敏夫先生は、日本の学術賞として最も権威ある、日本学士院賞を受賞されました。
ボルパラ(Volpara)判定
マンモグラフィ検査において、以前から乳腺濃度(レントゲンの通過しずらさ)は、脂肪性、乳腺散在、不均一高濃度、高濃度と4分類されており、乳腺濃度の髙い高濃度乳腺は、石灰化や腫瘤のカゲが正常乳腺に隠れてしまって描出されづらく、マンモグラフィ検査が苦手とする乳腺とされています。
ボルパラ(Volpara)判定とは、この乳腺濃度をデジタル画像から、客観的に数値化して判定する方法です。この判定で、高濃度の乳腺と判断されたからといって、決して乳がんになりやすいと心配される必要はありませんが、この高濃度の乳腺の場合、マンモグラフィのみでなく、乳腺超音波検査を組み合わせることにより乳がんの見逃しを防ぐことが検討されています。
乳がん検診無料クーポンの配布が2009年度から開始されました。
増加し続ける乳がんによる死亡数を減少させるためには、検診によって乳がんを早期発見し早期治療へとつなげていく必要があります。働く世代の女性支援のためのがん検診推進事業として、40歳から60歳までの5歳刻みにクーポンの配布が始められました。
2014年度は、2009~2012年までのクーポン『未利用者』を対象に配布されました。今回が、対象者への、最後のクーポン配布となりますので是非この機会にご利用ください。 残念ながら、今後クーポン配布は、廃止予定となっています。(→ 2015年度から、40歳を対象に、クーポン配布が継続される予定となりました。今後は、乳がん健診開始の『40歳のみ』に、配布されていくことと思います。)
この無料クーポンに関連して、2点の誤解が生じております。
① クーポン配布が5歳きざみでしたので、乳がん検診を5年ごとの受診と誤解されているようですが、。現在でも乳がん検診は、2年ごと(隔年)での受診が推奨されています。
② 働く世代支援として60歳までクーポンが配布されましたが、70歳でも、80歳でも乳がんは、生じます。特に60歳代でもまだまだ高い罹患率ですので、是非乳がん検診を受診しましょう。
現在、本邦では、女性特有のがん検診事業として、子宮頸がん検診、乳がん検診クーポンが、平成25年度から働く世代の大腸がん推進事業として、大腸がん検診クーポンが配布されています。いずれのクーポンも、社会において、家庭において大きな役割を担う世代の病を早期に発見・早期に治療することによって、日々健やかに過ごしていただける事を願い、実施されております。是非とも、この機会にご利用ください。